効果のない研修プログラムの原因
研修のポイントは、研修プログラム前後にある!
研修と一言で言うと、外部会場で行われる研修に参加したり、研修会社から講師を派遣してもらい
医療機関や介護施設内で行うことをイメージされると思います。
一般的には、ここで実施される部分を「研修プログラム」と呼ぶ場合がほとんどです。
しかし、実際にはそれだけでは期待される研修の効果には、大きく不足しているのです。
下図は、2007年にASTD(米国人材開発機構)で公開された、効果のない研修プログラムの原因を分析した統計です。
この分析をみると「研修プログラム」自体が研修効果全体に与える影響は20%に過ぎず、
「効果のない研修」の主たる原因は、一般的に言われる「研修プログラム」の前後に存在していることが理解できると思います。
つまり、本来の「研修」とは、受講者に研修の意図を理解させ参加準備をさせるところから、研修実施後の フォローを行うところまでをしっかり計画しなければ、効果がでにくいということになります。
例えば、
研修実施前に、受講者に研修の目的を伝え動機づけを行えば、受講者のモチベーションは高まり、研修に積極的に参加しようとします。
このスタート時点で、ただ何となく研修を受講しに来た受講者とは大きく違ってきます。
そして、研修受講後。
せっかくやる気を出して、職場に戻っても、自分の意識は変化していても、職場自体は研修前と変わりません。
従って、受講者も次第に元の状態に戻ってしまうか、あるいは大きな意識変化が起きた方は、その職場に違和感を感じ始め、人によっては退職の道をたどるケースもあるのです。
以上のことから、教育研修の成功のカギは、研修の前後の取り組み方にあるのです。
成果を出す教育研修の仕組み
教育研修を成功させる、研修前後の仕組みとはどういったものがあるか、ポイントをあげてみましょう。
[研修受講前] | ・受講者へ今回の研修参加の目的を明確に伝える ・受講者の研修参加に対するモチベーションを高める |
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[研修受講後] | ・受講者からのフィードバックをもらう ・研修を実務でどう活かすか等のアクションプランの作成を行う ・研修後の変化を定期的に確認する |
いかがでしょうか?
活字にすれば、わずかこれだけの事ですが、医療や介護の多忙な業務に加え、
これらの事を新たに行うのはとても大きな負担となってしまいます。
しかし、これらの項目はどれも必要不可欠なことです。ですから、これを個々で行うと考えるのではなく、組織として行うというようにイメージして下さい。
「組織」というと企業っぽい感じがしますが、医療機関や介護施設も当然「組織」で成り立っています。
この組織の仕組みを新たにすることで、人材の育成や能力開発に大きな効果が得られるのです。
ポイント
- ■ 「効果のない研修」の主たる原因は、本研修の前後に存在している。
- □ 教育研修の成功のカギは、研修の前後の仕組みづくり次第である。
- ■ 個々で行うのではなく、組織として教育研修の仕組みをつくる。